alt属性(alternative text attribute)

用語解説

alt属性(alternative text attribute)は、HTMLの<img>タグで使用される属性で、画像が表示されない場合に代替テキストを提供する役割を果たします。この属性は、Webサイトのアクセシビリティ、SEO(検索エンジン最適化)、そしてユーザーエクスペリエンスにおいて非常に重要な役割を担っています。

1. alt属性の基本的な役割と目的

alt属性の主な目的は以下の通りです。

アクセシビリティの向上: スクリーンリーダーなどの支援技術を使用する視覚障碍者にとって、alt属性は画像の情報をテキストで伝える唯一の手段となります。適切に記述されたalt属性は、Webサイトのコンテンツをすべての人に理解可能にするために不可欠です。

画像が表示されない場合の代替表示: 画像が読み込まれない場合(ネットワークの問題、ファイルが存在しない、対応していないファイル形式など)、ブラウザはalt属性に記述されたテキストを表示します。これにより、ユーザーは画像の内容を推測でき、コンテンツの全体像を把握することができます。

SEOの向上: 検索エンジンは画像を直接理解することができません。alt属性は、検索エンジンに画像の内容を伝え、Webサイトのランキングを向上させるのに役立ちます。関連性の高いキーワードをalt属性に含めることで、検索結果における表示機会を増やすことができます。

ユーザーエクスペリエンスの向上: 画像が正常に表示されている場合でも、alt属性はツールチップとして表示されることがあります。特に、複雑な画像やアイコンの場合、alt属性は追加情報を提供し、ユーザーの理解を助けます。

2. alt属性の記述方法とベストプラクティス

alt属性は、<img>タグ内で以下のように記述します。

<img src=”image.jpg” alt=”画像の説明文”>
Use code with caution.
Html
alt属性を効果的に記述するためのベストプラクティスを以下に示します。

簡潔かつ正確な説明: alt属性には、画像の内容を簡潔かつ正確に記述します。冗長な説明は避け、画像の最も重要な要素を強調します。

コンテキストの考慮: 画像の周りのテキストとの関連性を考慮してalt属性を記述します。画像がコンテキストの中でどのような役割を果たしているかを考慮し、適切な説明を提供します。

キーワードの活用: SEOを考慮して、関連性の高いキーワードをalt属性に含めることができます。ただし、キーワードの詰め込みは避け、自然な文章で記述することが重要です。

装飾的な画像への対応: 装飾的な画像(罫線、背景画像など)には、alt=””のように空のalt属性を使用します。これにより、スクリーンリーダーはこれらの画像を無視し、ユーザーの邪魔になることを防ぎます。

リンクとしての画像への対応: 画像がリンクとして機能する場合、alt属性にはリンク先のページの内容を記述します。例えば、ロゴ画像がホームページへのリンクである場合、alt=”ホームページへ移動”のように記述します。

機能的な画像への対応: 画像がボタンやアイコンとして機能する場合、alt属性にはその機能の説明を記述します。例えば、検索ボタンの画像であれば、alt=”検索”のように記述します。

避けるべきこと:

alt属性を省略しない:HTMLの仕様では、alt属性は必須です。

“画像”、”写真”などの一般的な単語を使用しない:これらの単語は、画像の内容を具体的に説明していません。

ファイル名を記述しない:ファイル名は、画像の内容を説明していません。

過剰なキーワードの詰め込み:検索エンジンは、キーワードの詰め込みをスパム行為とみなす可能性があります。

説明が不正確または誤解を招く内容を記述しない:ユーザーは、alt属性に記述された情報を信頼しています。

3. alt属性とaria属性の関係

alt属性とARIA(Accessible Rich Internet Applications)属性は、Webアクセシビリティを向上させるための重要なツールですが、役割と適用場面が異なります。

alt属性: alt属性は、<img>タグに特有の属性であり、主に画像の内容を説明するために使用されます。画像が表示されない場合や、スクリーンリーダーが画像を読み上げる際に、代替テキストとして機能します。

ARIA属性: ARIA属性は、HTML要素に意味を追加し、アクセシビリティを向上させるための汎用的な属性です。alt属性で十分な情報を提供できない場合や、複雑なUIコンポーネントのアクセシビリティを向上させるために使用されます。

具体的なARIA属性の例としては、以下のようなものがあります。

aria-label: 要素にラベルを提供します。

aria-describedby: 要素の説明を提供します。

aria-hidden: 要素をスクリーンリーダーから隠します。

alt属性とARIA属性の使い分けのポイントは以下の通りです。

<img>タグには、常にalt属性を使用します。

alt属性で十分な情報を提供できない場合は、ARIA属性を併用します。

装飾的な画像には、alt=””を使用し、aria-hidden=”true”を追加することもできます。

複雑なUIコンポーネントのアクセシビリティを向上させるために、ARIA属性を適切に使用します。

4. 具体的なalt属性の記述例

以下に、さまざまな状況におけるalt属性の記述例を示します。

製品画像: <img src=”product.jpg” alt=”赤いTシャツ メンズ Sサイズ”>

風景画像: <img src=”landscape.jpg” alt=”夕焼けの海岸線”>

ポートレート画像: <img src=”portrait.jpg” alt=”ジョン・スミス CEO”>

グラフ画像: <img src=”graph.png” alt=”売上高の推移を示す棒グラフ”>

ロゴ画像 (ホームページへのリンク): <a href=”/”><img src=”logo.png” alt=”ホームページへ移動”></a>

検索ボタン画像: <button><img src=”search.png” alt=”検索”></button>

装飾的な罫線画像: <img src=”border.png” alt=””>

5. alt属性の検証とテスト

alt属性が適切に記述されているかどうかを確認するために、以下の方法を使用できます。

HTMLバリデーター: W3C HTML Validatorなどのツールを使用して、HTMLコード全体を検証し、alt属性の記述漏れや誤りを検出します。

スクリーンリーダー: スクリーンリーダーを使用してWebサイトを閲覧し、alt属性が正しく読み上げられるかどうかを確認します。

ブラウザの開発者ツール: ブラウザの開発者ツールを使用して、alt属性の内容を確認します。また、画像を無効化して、alt属性が代替テキストとして正しく表示されるかどうかを確認します。

アクセシビリティ監査ツール: WAVE、Lighthouseなどのアクセシビリティ監査ツールを使用して、alt属性に関する問題を検出します。

6. まとめ

alt属性は、Webサイトのアクセシビリティ、SEO、そしてユーザーエクスペリエンスを向上させるための非常に重要な属性です。適切に記述されたalt属性は、視覚障碍者を含むすべてのユーザーに情報を提供し、検索エンジンに画像の内容を伝えることができます。この記事で説明したベストプラクティスに従って、alt属性を効果的に活用し、より使いやすく、よりアクセスしやすいWebサイトを作成しましょう。